リサイクル回収ボックス、実績30年シェア70%
同社のゴミ資源リサイクル回収ボックスは、30年の歴史と実績がある。いまどこでも見かけるそれらは、自販機サイドや公共空間でシェア70%を占める同社の製品である。しかし回収ボックスだけでは限界があるということで、現在はISO14001取得企業向けに、廃棄物の第1次分別回収を目的としたコンサル業務を展開している。
「オリジナル製品では、ラインナップを増やしてもコストの安さという方向にいってしまい付加価値を生みません。そこで企業から出る廃棄物を分析し、分別することのコンサルを行っています。情報をクライアントに的確にサービスしていくことで、購買機能を私たちが企業の代理店として行うことです。リサイクルも含め、製品を供給し使ってもらうのに付加価値としてなにが有効かを考えていくことです」
「たとえばコンビニエンスストアや流通業界から引き合いがきていますが、その特徴は、特定のモノをリサイクルを目的に回収したいという特注品が多くなったことです。コンビニの入り口わきにリサイクルボックスを置くなんて20年前は考えられなかったことですが、最近ではそのように裏方にあったものが表に出てきています。そこで重視されるのが、分別機能を持った高いデザイン性です」
「そして少子化による若い人たちの減少や景気の動向を考えると、リサイクルはデジタル化に伴って機械化が進みシンプル化していきます。しかしリサイクルボックスに対して多くの人たちが持っているイメージは、旧態の<ゴミ箱>という環境への無関心さです。環境を考え良くするにはリサイクルの入口であるリサイクルボックスがよくなければなりません。だからリサイクルボックスの市民権を得たいのです。環境をよくすることは人間生活にとって大切なことですが、その意識はまだ十分でありません」
人間の本質にかかわるアイデンティティーを持つこと
「私はパブリックアート研究所にもいて、景観事業にもかかわってきました。パブリックな場に彫刻(アート)を設置し、アートの価値を最大限に引き出し付加価値をつけて活用することで、空間の存在意義を高めることです。今回の公開審査もそうしたことの一環です」
「環境も景観も同じですが、全般的にいえるのは日本人としてのアイデンティティーが欠けていることです。すでにヨーロッパのブランドメーカーは、独自のアイデンティティーをつくりはじめていますが、日本はまだブランド志向です。アートはアナログなのです。うわべでなく人間の本質的な、内面的なものにかかわることです。その意味でもう一度、日本文化を見直さなくてはなりません」
「わが社は環境保護という観点からリサイクルボックスを専門に考えている数少ない企業ですから、そうしたところに一石を投じたいし、そうしないとダメだという危機感があります。そうした状況にきちんと対応できれば、優れた空間がつくれます。それにはモノづくりの本質が分っていないといけません。優れた人たちとコラボレーションしながら、そのことへの提案を積極的にやっていきたいと考えています」。
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