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【リサイクル再考】続「ペットボトル」編(下)
(産経新聞 平成20年8月28日)
■再生業者は未来の材料屋

 「短期、中期、長期の目標をどこに置くかで、リサイクルの価値や意味は変わってくる。再生事業者は単に廃棄物を処理する業者ではなく、資源小国の日本では未来10年から使用済みペットボトルを使った分別回収ボックスを開発している「アートファクトリー玄」(東京都渋谷区)の社長、杉村総一郎さんはこう話す。会社の書棚には環境とアート、武士道などの日本文化を記した図書がずらりと並んでいる。「文化」の視点からもリサイクル論を語る経営者らしいオフィスだ。

 使用済みペットボトルをフレーク(片)やペレット(粒)にして再生した製品は、通常の製品と同等の粘度はない。それでも、メーカーはさまざまな工夫で、通常製品と遜色(そんしょく)ない製品づくりをしている。化学素材メーカーの帝人(大阪市)では、製造するポリエステル短繊維の約4割は使用済みペットボトルからできており、一部は海外にも輸出している。

 玄では、街の景観や建物に調和した、ペットボトルのキャップ(ふた)を回収する専用ボックスの試作にも乗り出している。

 ペットボトルのキャップはポリプロピレンからできていて、ハンガーやパレットなど、ポリエステルからできているボトル本体よりも成型製品に向いた再生原料になる。しかし、容器包装リサイクル法上は「その他プラスチック(廃プラ)」に属するため、分別回収する自治体が少ないことからゴミになる率が高い。

 こうした中、「ペットボトルをリサイクルしているのに、キャップだけを外してゴミにするのは、もったいない」と考える人々によって、キャップを集めて再生事業者に送り、その代金(400個で約20円)を発展途上国のワクチン普及を行う団体に寄付する活動が展開されている。

 同様の活動は各地に広がり、NPO法人「エコキャップ推進協会」(横浜市)によると、最近は1カ月で1000万個が集まる。キャップには色がついているため、再生時の色調整が難しいという課題もあるが、活動に賛同し、引き取る再生事業者も増え始めた。

 杉村さんは「仕組みはなくても、自分で工夫し発信することで、より良い循環型社会をつくるためのアイデアは生まれるはず」と訴える。(村島有紀)


使用済みペットボトルからキャップの回収ボックスを試作した杉村総一郎さん(左)=東京都渋谷区のアートファクトリー玄

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