伊藤園は、飲料の自動販売機に併設する容器回収ボックスに茶殻を配合する。茶飲料の製造で出る残さをリサイクルし、廃棄に伴って排出していた二酸化炭素(CO2)の削減や、ボックス内部の悪臭防止につなげる。このほど茶殻入りボックスを開発。9月から設置を始め、全国に約15万台ある自販機の回収ボックスをすべて切り替える。
CO2抑制、悪臭も防ぐ
容器回収ボックスなどのデザインを手掛けるアートファクトリー玄(東京・渋谷)と共同開発した。ポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂に、伊藤園の飲料工場から出た茶殻を配合した。茶殻を配合したボックスは、まず2012年4月期中に6000台以上を導入する。
回収ボックス1台に配合する茶殻は、主力茶飲料「お〜いお茶」(500ミリリットル)約36本分の茶葉に相当する。茶殻は通常、焼却処理することが多いが、回収ボックスにすることで1台あたりCO2約235グラムの排出を抑制できる見込みだ。
伊藤園は既存の回収ボックスを新開発品に取り替えるほか、新設する自販機にも順次導入。今期導入予定の約6000台分で、約1.4トンのCO2削減効果があると試算している。投資額は明らかにしていない。
回収ボックスは飲料の飲み残しの付着で悪臭が発生することがあるが、茶特有の香りには消臭効果があるとされている。
同社が茶殻入り回収ボックスにアンモニアガスを入れて試験したところ、24時間で約8割の臭い成分をカットできたという。茶殻活用は廃棄物リサイクル、地球温暖化対策、自販機周辺の環境整備に効果があるとみている。
伊藤園の茶飲料の昨年の販売量は1億1420万ケースと、国内でトップシェア。生産過程で年間約4万トンの茶殻が発生するため、01年から有効活用に向けた取り組みを進めてきた。これまでに封筒や段ボールなどに配合して自社内で使っている。茶殻入り紙ナプキンなど外部販売もしており、年間1億円程度の売上がある。 |
1台に配合する茶殻は
「お〜いお茶」(500ミリリットル)
約36本分の茶葉に相当する |
|